名誉顧問 高濱正伸
母である前に、まず個人としてどう生きるか
私は、1993年、子どもたちの生きる力を育むことを目的として、
花まる学習会という塾をスタートした。
ほどなく、子どもの頭脳と心を育てるための最大の環境である「家庭」に大きな問題があることに気付いた。
笑顔でいてほしい母親の多くが、イライラして不安定なのである。そしてほどなく、これは地域力の崩壊などに基づく構造的な問題で、心がけなどでは解決しないと分かった。
大切なのは、子育ての海に放り込まれた一人の母に、多くの「人のつながり」があることである。心配事を傾聴し、受け止め、うなずき、共感し、ねぎらってくれる誰かの存在。簡単そうだが、現実は、共に暮らすパートナーにすら本当には理解してもらえなかったり、表面的なお仲間はいても、安心してさらけ出せる友を見出せなかったりする母も多い。
ところが、HUCが生まれた。母である前に、まず個人としてどう生きるかを大切にし、お互いを否定しない関係を作り上げ、どの一人も輝いている事実を見たときは、本当に感動した。応援しないではいられない。HUCの存在を端緒として、どうか、母の安心が広がりますように。